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海浜における、いわゆる泥酔者への対応:救急車を要請する判断基準
2019.07.09

JLA関係者 各位
 

JLAメディカルダイレクター

溺水防止救助救命本部

 
 

JLA Medical Position Statement

海浜における、いわゆる泥酔者への対応:

救急車を要請する判断基準

 

不適切な飲酒は急性アルコール中毒となり,軽い酩酊にとどまらず重篤な場合は死に至る.主な原因は,アルコールによる中枢神経抑制または吐物による窒息である.急性アルコール中毒では,接触時に症状がひどくないようであっても,時間とともにアルコールが消化管より吸収され,血中アルコール濃度が上昇すると重症化していく場合があるので注意が必要である.厳重な気道・循環管理が必要なので,医療機関に出来るだけ迅速に搬送することが望ましい.

JLAの2016レスキューレポートでは,海浜での溺水事案のうちCPR報告事例は16例で,うち少なくとも4例では飲酒が関係していた.

JLAでは,メディカルダイレクター会議にて,海水浴場での飲酒による酩酊者に対するライフセーバーの取るべき対応について検討した結果,下記のような症状を呈する場合は速やかに,救急車を要請し医療機関への搬送も考慮すべきであると考える.

【酩酊者への対応について】

最初に意識状態,気道(A),呼吸(B),循環(C)の観察を行い,いずれかに次のような異常を認めた場合は回復体位を取らせるなど,適切な処置を行うとともに速やかに救急車を要請する.

(確認項目)

①意識状態 意識レベルがJCS30 より悪い場合

②気道   酩酊状態で頻回な嘔吐がある場合(吐しゃ物による窒息のおそれがある)

③呼吸   正常ではない場合

④循環   脈拍が弱く触れづらい場合

⑤体温   被覆等による保温も考慮する(泥酔状態に対しては、低体温を防ぐため)

【外傷を伴っているとき】

泥酔者は転倒,転落しやすく,とっさに反応できないことから重症外傷を負うリスクが高い.監視所へ連れてこられた時に,外傷の有無について注意深く観察し,特に頭部や顔面に外傷痕が認められる場合は,転倒,転落に伴う受傷が推測されることから,救急車の要請を検討してもよい.

【上記に該当しなくとも、以下の場合は救急車の要請を検討してもよい】

1) 責任を持って看病してくれる成人がいない場合

2) 飲酒者が未成年の場合 (同時に警察への通報も考慮)

ダウンロード用→JLAMPS(泥酔者)

問合せ 公益財団法人日本ライフセービング協会

Tel: 03-3459-1445(平日12:00-18:00)

Mail: info@jla.gr.jp

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