教育

学校の先生方へ -新学習指導要領に沿った水泳指導案-

新学習指導要領実施に向けて

2017年に改訂された学習指導要領ですが、2020年度から小学校にて、2021年度から中学校にて実施されます。特に体育科目の水泳において、下記のとおり、新たな文言が加えられています。
日本ライフセービング協会として、ウォーターセーフティの考え方を取り入れた以下のような指導案をご提案いたします。

平成29年度3月31日公示 小学校学習指導要領改訂のポイントと「JLA Water Safety」との関連性

低学年

水泳運動系
水遊び
内 容
「水の中を移動する運動遊び」
及び
「もぐる・浮く運動」
学習指導要領解説より
水遊びの楽しさに触れ、その行い方を知るとともに、水慣れを通して不安感を取り除き、水の心地よさを味わうことからはじめ、水の中を移動すること、もぐる・浮くことなどの基本的な動きを身に着けるようにし、中学年の水泳運動の学習につなげていくことが求められる。
JLA Water Safety
≪ファン・スイミング≫
水遊びのルールを守り、楽しく友達と遊べるようになること。
(例)
いろいろな生物のものまね
水中伝言ゲーム、水中じゃんけん
ダイブボールレスキュー
ビート板を用いた運動
身の回りの浮くものどれだ?

中学年

水泳運動系
水遊び
内 容
「浮いて進む運動」
及び
「もぐる・浮く運動」
学習指導要領解説より

浮いて進む運動では、その行い方を知るとともに、プールの底や壁を蹴った勢いを利用して進むけ伸びをしたり、浮いて呼吸をしながら手や足を使って進む初歩的な泳ぎをしたりすること。

学びに向かう力、人間性等では、「バディで互いを確認しながら活動する、ゆっくりと水の中に入る、プールに飛び込まないなど、水泳運動の心得を守って安全を確かめること。」とされている。

JLA Water Safety
≪サヴァイバル・スイミング≫
必要があればゆっくりとした動きや泳ぎで水面を移動できること。
(例)
バックフロート、バックアングルフロート
ライフセービングバックストローク
ライフジャケットの正しい着用と浮く運動
バディと点呼のとり方
スライドインとスリップイン

高学年

水泳運動系
水泳運動
内 容
「クロール」「平泳ぎ」
及び
「安全確保につながる運動」

学習指導要領解説より

安全確保につながる運動では、その行い方を理解するとともに、背浮きや浮き沈みをしながら、タイミングよく呼吸したり、手や足を動かしたりして、続けて長く浮くことができるようにする。

より現実的な安全確保につながる運動の経験として、着衣をしたままでの水泳運動を指導に取り入れることも大切である。

JLA Water Safety
≪サヴァイバル・スイミング≫
体温を奪われずに体力を温存し水面での浮身を長時間継続できること。
(例)
フロントアングルフロート
バーティカルフロート
ライフジャケット着用(着衣)での落水体験と
浮く運動、ヘルプの浮身姿勢

共通領域

水泳運動系
水泳運動
学習指導要領解説より

水泳運動系は生命にかかわることから、水泳場の確保が困難で水泳運動系を扱えない場合でも、水遊びや水泳運動などの心得については必ず指導することが大切である。

JLA Water Safety

≪Water Safety≫教本より

  • 身近にある水辺と事故の現状
  • 海のことを知ろう!
  • 離岸流や逆潜流について
  • その他の事故
  • サヴァイバルスイムの重要性(浮く・潜る・移動する)

平成29年度3月31日公示 中学校学習指導要領改訂のポイントと「JLA Water Safety」との関連性

第1学年 及び 第2学年

分野
体育/水泳
内 容
水泳に積極的に取り組むとともに、勝敗などを認め、ルールやマナーを守ろうとすること、一人一人の違いに応じた課題や挑戦を認めようとすることなどや、水泳の事故防止に関する心得を遵守するなど健康・安全に気を配ること。
学習指導要領解説より

水泳の事故防止に関する心得とは、体の体調を確かめてから泳ぐ、プールなど水泳場での注意事項を守って泳ぐ、水深が浅い場所での飛び込みは行わないなどの健康・安全の心得を示している。

健康・安全に気を配るとは、水温や気温が低いときは水に入る時間に配慮しながら活動するなど体調の変化に気を配ること。用具の取り扱い方などの安全に留意すること、自己の体力や技能の程度に見合った運動量で練習をすることを示している。そのため、体調に異常を感じたら運動を中止すること、用具の扱い方、けがの事例などを理解し、取り組めるようにする。
なお、着衣のまま水に落ちた場合の対処の仕方については、安全への理解を一層深めるため、各学校の実態に応じて取り扱うことができるものとする。

JLA Water Safety

≪Water Safety≫教本より

  • プール教本
    第2章4 プールの水深とスタート台
  • ジュニア指導指針 P22
    3.5.4水の特性
  • プール教本
    P13「表2-3」水温+気温の基本的な考え方/P18~24
  • ジュニア指導指針 3
    3.6.1水に慣れる P45~49 P94

第3学年

分野
体育/水泳
内 容
水泳に自主的に取り組むとともに、勝敗などを冷静に受け止め、ルールやマナーを大切にしようとすること、自己の責任を果たそうとすること、一人一人の違いに応じた課題や挑戦を大切にしようとすることなどや、水泳の事故防止に関する心得を遵守するなど健康・安全を確保すること。
学習指導要領解説より

水泳の事故防止に関する心得とは、自己の体力や技能の程度に応じて泳ぐ、無理な潜水は意識障害の危険があるため行わない、溺れている人を見付けたときの対処としての救助の仕方と留意点を確認するなどといった健康・安全の心得を示している。

健康・安全を確保するとは、水温や気温の低いときは活動の仕方や水に入る時間に配慮して活動する、自己の体調や技能の程度に応じて段階的に練習するなどを通して、健康を維持したり自己や仲間の安全を保持したりすることを示している。そのため、プールや用具に関する取り扱い方、また練習場所に関する安全や体調に留意して運動するなどの留意点などを理解し、取り組めるようにする。
なお、着衣のまま水に落ちた場合の対処の仕方については、安全への理解を一層深めるため、各学校の実態に応じて取り扱うことができるものとする。

JLA Water Safety

≪Water Safety≫教本より

  • WS教本 P26
    レスキュースキル
  • プール教本 P88、89
    救助の手順と方法
  • ジュニア指導指針 P97~100
    ドライレスキュー
  • ジュニア指導指針 P94~97
    着衣浮き

共通領域

※学習指導要領解説 「内容の取り扱い」より抜粋

  • 水泳の領域は、第1学年及び第2学年においては、全ての生徒に履修させることとしているが、第3学年においては、器械運動、陸上競技、水泳及びダンスのまとまりの中から1領域以上を選択して履修できるようにすることとしている。
  • 安全を確保するための泳ぎを取り上げる場合は、背浮きや浮き沈みを活用して、長く浮き続ける学習ができるようにすることが大切である。
  • 水泳ではバディシステムなどの適切なグループのつくり方を工夫したり、見学の場合も、状況によっては、安全の確保や練習に対する協力者として、参加させたりするなどの配慮をする。また、水泳の学習は気象状況に影響を受けやすいため、教室での学習としてICTを活用して泳法を確かめたり、課題を検討したりする学習や保健分野の応急手当と関連させた学習などを取り入れるなどの指導計画を工夫することが大切である。
JLA Water Safety
  • プール教本 P33
    スキャニングの方法と種類
  • ★ICT教育を視野に入れた取り組み

  • ・ジュニア指導指針 P37
    3.5.8環境を「知る」から「考える」へ
  • ・BLS、RICE処置、熱中症など